18世紀中頃にはヨーロッパ各国で火災保険が設立されました。
ロンドンで4日間も燃え続けた大火災から火災に備えた保険が誕生
イギリスで1720年に二つの特許海上保険会社が設立されたことはすでに述べたが、その他の国でも17世紀末以降、海上保険会社が次々と設立されていった。「火はすばらしい召使であるが、同時に恐ろしい主人である」といわれるとおり、人間が火を使い始めたときから火災による被害も生じた。ヨーロッパでは13世紀ころから罹災者の救済を目的とするギルドがつくられ、また町村の中には教会内で、または近隣を訪問して義掲金を乞うことを認めた「火災乞食免許状」を発行したものがあったが、1666年のロンドン大火は、火災保険の生成に決定的役割を演じた。
1666年の9月2日、パン屋から出火した火は4日間燃え続け、全市家屋の85%にあたる1万3000戸あまりを焼き尽くした。この大火を契機としてロンドンの市民は紙と木に代えて煉瓦でビルを作ることを始めるとともに(最近まで東京の丸の内にあった煉瓦作りのビル街は通称「ロンドン」といわれた)、火災保険によって火災損害に対処することを思いついた。ニコラス・バーボンという人が1681年にファイア・オフィスを開いたのを皮切りに、次々に火災保険会社が設立された。
18世紀中期になると、フランス、ベルギーなど他のヨーロッパ諸国でも火災保険が行われるようになり、アメリカでも1752年、フランクリンによって最初の火災保険会社が設立された。当時の火災保険に関して特記すべきことが二つある。一つは保険会社の消防隊である。そのころはまだ公的な消防隊はなく、各保険会社がそれぞれの消防隊をもっていた。その消防隊は自分の会社の被保険者の家が火災にあった場合には飛んで行って消したが、他の保険会社の被保険者の家が焼けても消火にあたらなかった。
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さらに奴隷に限らず一般女性の出産死亡危険、そして出産時の危険に限らずすべての死亡危険の保険と保険の対象が広がって行き、16世紀になると広く人間の生命が保険の対象となった。ところがいったん人間の死亡が保険の対象となると、大衆の射倖心を呼び起こし、17世紀以降ヨーロッパの各地でローマ法王、皇帝、王、王妃、政治家など有名人の生命保険が流行した。
こうなると保険というよりは賭博である。そこでイタリアやスペインの諸都市につづき、フランスでも1793年、国民公会は生命保険を全面的に禁止するに至った。イギリスでも18世紀に入ると賭博保険が熱病のように流行した。作家のウォルポールは「保険は一つの特別のゲームにほかならない」と言っていたが、皮肉にも彼の父で元首相のウォルポールが1745年に死亡した時、彼には数千件の保険契約がつけられていたといわれる。
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